自由でナチュラル。グラフィックを自在に操るアーティスト・Kads MIIDAさん

Terrace Mall Magazineでは、「自分らしく前にすすむ湘南の人々」のリアルな生き方を、2018年春のテラスモール湘南のリニューアルに重ねあわせ、インタビュー形式でご紹介しています。
今回は、Tシャツデザイナーやライブペインティングアーティストとしてご活躍されているKads MIIDAさんです。

独特な絵柄とメッセージ性の強い言葉が描かれたTシャツは人気が高く、全国各地で「T-Sharts Printing Factory」としてTシャツハンドプリントの実演と販売を行っているKads MIIDAさん。6月27日(水)〜7月1日(日)には、テラスモール湘南の「くらしテラス」でもTシャツの展示・販売会が行われ、多くのお客さまで賑わいました。そんなKads MIIDAさんに、絵にかける情熱や今後の活動、そして将来の夢などを伺いました。

メッセージ性とデザイン性が融合したTシャツがずらり

くらしテラスの周囲を囲うロープに吊るされた、数々のグラフィックTシャツ。レゲエを思わせるラスタな絵柄や、どこかで耳にしたことのあるような英語のメッセージ。心に響く主張性とデザイン性が融合したTシャツに、道行く人はふと足を止めて見入っています。

絵の勉強をしていたKads MIIDAさんがこの世界に入ったきっかけは、学生時代にある店舗の内装として壁画を手掛けたこと。「あとはそのまま色々と依頼を受けているうちに流れで何となく…」と、フリーランスとして活動。大手アパレルやファッションブランドとのコラボレーションをするなど、多彩な作品を生み続けました。

“自然の一部であること、自由であること”

Kads MIIDAさんのTシャツは、小さなイラストにポップな書体の英字が表記されたシンプルなものがほとんど。中にはイラストもなく、英語のメッセージだけのものも。「作品を作る上で心掛けているのは、“自然の一部であること、自由であること”」とKads MIIDAさん。さまざまな音楽からインスピレーションを受けることも多く、ジョン・レノンの言葉や、レゲエミュージックの歌詞など、さまざまな言葉が引用されています。

「そうした数々の言葉を、絵を使って視覚化し、“文字を生き物にする”感じですかね」とKads MIIDAさん。その言葉通り、極力無駄をなくしてシンプルにすることで、メッセージ性がますます引き立っているかのようです。例えば、ハートの形をした頭に、キング牧師のメッセージで手足と胴体を描いた作品は、人々の友愛を説いたそのメッセージとぴったりとマッチ。一度見たら忘れられない、心に深く刻まれる作品です。

色を選んでその場でプリント

こちらで完成!

キング牧師の言葉の絵柄は右端

手書きならではのライブ感にこだわる

1,000種類近くに及ぶKads MIIDAさんの作品ですが、そのほとんどが紙にペンを使って手書きで描いたものだそう。コンピュータグラフィックに頼らず、アナログな感覚を大切にしていると言います。「子どもの頃、街の看板屋さんが看板を手で書く姿や、駅の時刻表を手書きで書かれる様子を、じっと眺めていたものです。そんな“手仕事”に昔から魅入られていました」とKads MIIDAさんは言います。

会場ではお客さまに絵柄を選ぶアドバイスも

観客を熱狂させる、ライブペインティングアーティストとしての一面も

そんなKads MIIDAさんのもう一つの顔が、ライブペインティングアーティスト。今では音楽フェス会場などでもよく見られるようになりましたが、Kads MIIDAさんは早くからライブペインティング活動をスタートさせた、その世界の草分け的な存在なのです。最近では静岡で行われた「頂フェス」でパフォーマンスを披露。バンドの演奏とコラボしてステージ上で約2時間、絵を描き続けたそうです。

そうしたパフォーマンスは大物ミュージシャンの目にも留まり、ダブ/レゲエ界の大御所ジャー・シャカからはロンドンに招待され、彼の演奏をバックにパフォーマンスを披露。そのダイナミックで生命力あふれるアートを目にした現地の方々には、驚きと称賛をもって迎えられたそうです。

「あらかじめ何を描くかなどは決めておきますが、その時々に流れている音楽やお客さんの歓声やノリ、グルーヴなどが筆のタッチに影響し微妙に変化します。そんなライブ感やストリート感がたまらないです。絵を描くって、“頭の中で旅をする感覚”なんですよ」(Kads MIIDAさん)

「頂フェス」でのライブペインティング・パフォーマンス

一枚の絵を分割して描き、販売することも

音楽、アート、ファッション…。湘南にはカルチャーがある

そんなKads MIIDAさんですが、若い頃からサーフィンを楽しんでいたこともあり、湘南に縁が深く、多い時は週1で通っていたそう。「湘南はアートやカルチャーがある感じがしますよね、実際、私の音楽仲間やアーティストの友人も多くいますし。あ、前にここに出ていた晶ちゃん(※葉山の女性漁師・畠山晶さん)も古くからの友だちなんですよ」(Kads MIIDAさん)。湘南でライブペインティングを行うこともあり、次回は葉山の海の家「オアシス」で8月6日(月)にパフォーマンスを披露する予定とのこと。

「湘南ってやっぱり独特のカルチャーがあると思う。湘南のサーフポイントって、サンドやリーフ、リバーマウスとバリエーションが多く、波質がすごく良いんだけど、意外と数が少ないからじゃないかと。波待ちの時間に、仲間と音楽やファッションとか、好きなものの話をして盛り上がる。そんなところから新しいカルチャーが生まれているんじゃないかな」と、湘南の独特な風土を分析します。

新たな夢へと向かって…

「将来はクルマを改造して、絵を売りながら日本中を旅するモバイル生活をしてみたい。いいじゃない、のんびりと好きなことをしてさ」と笑顔で語るKads MIIDAさん。ただのTシャツデザイナーでもなく、一介のライブペインティングアーティストでもない。一人の表現者として孤高の存在であるKads MIIDAさんの姿が、ひたすら自由でナチュラルに、そして眩しく映りました。

LINE

Kads MIIDA(カッズ・ミイダ)

1980年代後半、東京造形大学在学中にイラストレーターとして活動を開始。油絵、アクリル画、版画、壁画などの絵画制作を主体に、アパレルや生活雑貨などのプロダクト作品、店舗内装・ロゴ・広告などのデザイン・アートワーク、さまざまな音楽とコラボレートするライブペインティング、自身の体験を基にした絵本の出版など、その創作活動は多岐に渡る。
オフィシャルサイト:http://www.kads.net

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