湘南に希望と悦びの旋律を響かせる 藤沢西高等学校吹奏楽部「The INVINCIBLE〜夢笛管隊(むてきかんたい)」
2018年春のリニューアルで新しく生まれ変わるテラスモール湘南。これからも自分らしく前にすすむ湘南の皆様と一緒に歩んでいけたら。そんな想いを表す言葉として、「すすもう、湘南。」をテラスモール湘南は掲げました。
Terrace Mall Magazineでは、「自分らしく前にすすむ湘南の人々」のリアルな生き方を今回のリニューアルに重ねあわせ、イメージビジュアルにご登場いただくほか、インタビュー形式でもご紹介していきます。
今回は、藤沢西高等学校吹奏楽部「The INVINCIBLE〜夢笛管隊(むてきかんたい)」の皆さんです。
昨年末、湘南にクリスマスシーズンの到来を伝え、多くの人で賑わったイベント、テラスモール湘南のクリスマスイルミネーション。その点灯式で見事な演奏を披露したのが、藤沢西高等学校吹奏楽部。観るものすべてを自然と笑顔にする優れた演奏は有名で、2015年、2016年には東関東吹奏楽コンクール出場など、輝かしい実績がそのレベルの高さを証明しています。
県内の各地で演奏する、おなじみの吹奏楽部
部員は総勢55名、「The INVINCIBLE〜夢笛管隊(むてきかんたい)」と称するこの吹奏楽部は、コンクールへの出場のほか、定期演奏会の実施、先述したテラスモール湘南での点灯式への出演など、県内でもその名が知られた存在です。
真剣な眼差しで練習に励む生徒たち
ではそんな彼ら彼女らは、一体どのような毎日を送っているのか。湘南の明日を担う、若い学生たちの素顔に迫るべく、高校を訪ねてみました。
正門から入り体育館を越え、さまざまな部室が集まる棟に着くと、金管楽器に木管楽器、そして打楽器、これらが奏でる見事なハーモニーが聞こえてきます。そうっとドアを開けて中に入っても、誰もこちらを向きません。見つめる先は、先生が振る指揮棒と目の前の楽譜のみ。一心不乱に演奏を続けています。
先生は指揮棒を振るのを止め、生徒に声を上げます。「Dパートをもう一回、ちょっと揃ってないよ」「そうそう、その感じ。いいね」。顧問である丸山透先生の明るい声が響くと、生徒の表情が緩み、笑顔が広がる。先生も生徒も、一様にみな楽しそうないい表情ながら、目の奥は真剣そのものです。
丸山先生の指揮の元、みな真剣な表情
「とにかく“楽しく演奏したもん勝ち”。楽しく演奏すれば、結果はおのずとついてくる。それが、先輩から代々受け継いできた“西高らしさ”です」と答えてくれたのは吹奏楽部のキャプテン、谷原裕菜さん。またある生徒は「私が楽しく演奏する姿を見て、見ている人を笑顔にさせたい」と、こちらも心底、音楽を楽しんでいる様子がうかがいしれます。
先生はなんと、初代ウォーターボーイズ!
丸山先生が藤沢西高校に赴任し、吹奏楽部の顧問になったのは今から8年前。音楽は中学生の時までピアノやフルートを少し習った程度、高校時代は水泳部主将で、ウォーターボーイズでおなじみの「男子高校生シンクロ」をスタートさせた方だそう。
そんな丸山先生が初めて吹奏楽部を担当したのが32歳の時。「今どきの部活動は専門のコーチや監督を外部から呼んで指導を任せ、学校の先生はいわゆる名前だけの顧問というのが多いのですが、私はそれが嫌でした。顧問である以上、責任を持って面倒を見たいと思ったんです」と丸山先生は語ります。
“出されている音と、自分で出している音”
東関東大会に出るような実力のある高校では、顧問の先生はほとんど音楽の専門家。しかも、大声で怒鳴りながら指導するのも珍しくないといいます。しかし「そういった学校の演奏は確かに上手ではありますが、私は魅力を感じません。心に響かないんですよね。“出されている音”と“自分で出している音”、その違いは明らかなんです」
「何でこんなに演奏を楽しめるの!?」
「あるコンクールに出たとき、私たちの演奏を聞いた審査員の一人が『とにかく楽しそうなのがいい』とコメントしました。またある高校生には『こんな緊張する雰囲気の中で、何でこんなに楽しそうに演奏できるの?』と驚かれました」と丸山先生。なるほど、“とにかく楽しく”という精神は、確かに聞き手の心にも響いているのでしょう。
最後に谷原さんと丸山先生、そして部員の方々に湘南の魅力と、今後の目標や将来の夢を聞いてみました。
「海も山も近くにあるけど、ほどよく都会感があって(笑)、それこそテラスモール湘南も近くにあるからショッピングも困らない。今後は今の部員たちで全国大会出場、そして全国に遠征をしてみんなでお泊りやBBQなどを楽しんで、いい思い出をつくりたいです」(谷原さん)
「とにかく湘南は人が優しいし住みやすい。そのせいか西高の生徒もみんな素直で、怒鳴ったことは一度もない。今後も音楽を通じて、人生を楽しむことを伝えていきたいですね」(丸山先生)。
「辻堂の海岸で思いっきり演奏してみたい」(パーカッション)、「音を飛ばして、人を感動させたい」(トロンボーン)、「ジャズが好きなので、ニューオリンズの街で演奏して拍手喝采を浴びたい」(トランペット)、「世界へと出かけ、色々な人と知り合いたい」(サックス)。
吹奏楽部のキャプテン、谷原裕菜さん(中央)
いつも笑顔で、楽しさが伝わる
生徒たちの希望や夢は、まだまだ尽きることがありません。笑顔あふれる演奏で、聞き手に音楽の喜びを伝えてくれる藤沢西高等学校吹奏楽部「The INVINCIBLE〜夢笛管隊(むてきかんたい)」。将来への希望と幾ばくかの不安を抱えながら、この先の夢を語る高校生の前向きな姿に、湘南の明るい未来を垣間見た気がしました。
神奈川県立藤沢西高等学校 吹奏楽部
「練習は楽しく、演奏はもっと楽しく!」をモットーに、ニックネーム「The INVINCIBLE〜夢笛管隊(むてきかんたい)」として活動中。ウィンターコンサートや定期演奏会など、自主的な演奏会も積極的に開催し、テラスモール湘南のイルミネーション点灯式でも演奏するなど、地域で好評を得ている。近年の実績として「湘南コンクール 金賞」(2017年7月)、「東関東吹奏楽コンクール 銀賞」(2016年9月)など。