キュートなフォルムから幻想的な光と模様が浮かぶ、ひょうたんランプの魅力

ひょうたんランプをご存じでしょうか? なんともユーモラスでかわいいひょうたんに開けられた無数の穴から光がこぼれ、空間を美しく幻想的に照らしてくれるランプです。今回は、テラスモール湘南の3Fくらしテラスにて行われた「ひょうたんランプづくりワークショップ」の講師を務めた向川康樹(むこうがわ やすき)さんに、ひょうたんランプの魅力やご自身の活動などについてお伺いしました。

最大の魅力は、ひょうたんの独特なフォルム

ひょうたんランプとは、ひょうたん表面にさまざまな模様が浮かび上がって見える、何ともいえないムーディな雰囲気を演出してくれるランプです。

「作業自体は電動ドリルを使ってひょうたんに穴を開けるだけ、誰でも簡単にできます。最大の魅力は、ひょうたんの独特なフォルムです。この不思議な形に沿って自分なりのイメージをデザインしていくのが楽しいんです」と向川さん。

1つの点はただの点ですが、2つの点で線に、そして3つの点で勢いや方向性が決まります」(向川さん)
一見、無秩序に思える点も、点が集まることでそこに秩序が生まれるのだそう。

講師を務めた向川康樹さん

簡単だからこそ奥が深い、ひょうたんランプづくり

向川さんがひょうたんランプをつくり始めたのが2011年ごろ。「音楽の野外イベントに関わることをきっかけに、あるキャンドルアーティストのお手伝いをしていたんです。キャンドルで会場をライトアップしたり流木を使ってステージを装飾したり……。そんなある日、『これで何かを作ってみたら?』と友人にひょうたんをもらったんです」。

そこで色々と調べて出てきたのが、ひょうたんランプだったそう。「これなら簡単にできるなと思いました。だけど、実際つくってみたらどこかが違う。頭の中のイメージと出来上がる作品にギャップがあるんです。そこでひょうたんにメジャーを巻いて1ミリずつ印をつけて下絵を描くなど、いろいろと試行錯誤を繰り返しました」と向川さん。

そんな向川さんの転機となったのは、ある鉄工所に就職したこと。仕事をしながら身に着けたミリ単位で正確な図面を描くスキルは、そのままひょうたんランプづくりにも活かせたといいます。

「ひょうたんの形にあわせて、コンパスを使って下絵を描き、その通りに穴を開けてひょうたんを完成させたのですが、その時はじめて“整った”という感覚を得られたんです」そうした確かな感覚を手に入れたと実感したとき、はじめて“人に見せられるものができた”と思ったといいます。

それからというもの、ひょうたんランプづくりに本格的に取組み、各地でワークショップを開催するようになった向川さん。

ワークショップで使用するひょうたんは自分で育てているそうで、「自宅でもひょうたんを栽培していますが、福井の実家の両親にも協力してもらい、毎年3000個以上を生産しています」とのこと。

向川さんのひょうたん畑

何でもやっていい空気感(カルチャー)が湘南にはある

“福井の山奥で育った”という向川さんですが、こうしてひょうたんランプづくりを始めたのは、湘南に移り住んだことも大きく影響したといいます。

「湘南はアクセサリーをつくったりキッチンカーで食事を出したりと、一見自由な感じの仕事をしている人が多いんです。そして、そうした人たちが海を通じてつながっているんですよね。海が見られるというだけで、どこか心の持ちようがオープンになるというか、周りに目が向き自然と仲間ができるんです」

「山に囲まれていると自分をみつめることが多い気がするんです。それが影響しているのか、山育ちである私はもともとそれほど積極的に行動するタイプではないし、奥手な方。だけど、大磯で初めてイベントに出店した時、いろいろなモノを作ったり販売したりする人を見て『何でもやっていいんだな』と視野が広がりました。そしてそこで多くの人たちと出会い、つながりができました」

二宮にある工房&ギャラリー「うみのおいえ」

誰もが気軽にできるハンドメイドとして誠実に活動していきたい

そんな向川さんに今後の目標や夢を聞いてみると、「特に活動を広げたり大きくすることなく、こうして活動できているという事実に価値を見出したいんです。一過性の流行りモノではなく、誰もが気軽にできるハンドメイドとして誠実に活動していきたいですね」。

そんな考えがあるからこそ、今回のワークショップも3,000円というお手頃な価格で実施しているといいます。

「手間ヒマを考えたら、本来はもっと高い値段に設定するべきなのかもしれません。だけど、この価格でもやっていけている、成立しているんだよということに気づいてもらいたい、証明したいんです」(向川さん)

“作る楽しみ”を知ってもらいたい

向川さんのつくるひょうたんは、セレクトショップやカフェなどから「ウチに置いて販売してくれないか」という問い合わせも多いといいます。「本当にありがたいことで、置かせていただくこともあるのですが、私はやっぱり“作る楽しみを知ってほしい”というのが一番なのです」と向川さん。

現代は何かと目先の利益を求めがちですが、こうした純粋な志に触れると心が洗われるような気持ちになります。ひょうたんランプからこぼれる美しくも幻想的な光は、その清らかな心を映し出しているかのようでした。

LINE

ひょうたんランプづくりワークショップ

[開催日時]
10月22日(火・祝)10時30分〜、15時〜

[会場]
テラスモール湘南3階
くらしテラス イベントスペース

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向川康樹(yggpranks)
福井県出身。カフェ、古民家、山奥から個人宅まで、ゆるゆるした時空間をつくり出し、ひょうたんの魅力を灯していく。種から育てたひょうたんを使ったワークショップやLIVEの空間演出など、湘南を中心に活動中。

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