“スタイリッシュであること”。大切なことは湘南が教えてくれた。彫刻家・ハンセン神谷さん

胸元を飾る個性的なアイテムとして人気の「ボーンカービング」。9月23日(月・祝)に、ボーンカービングづくりのワークショップがくらしテラスにて開催されました。今回はワークショップの講師でもあり、日本におけるボーンカービングの先駆者でもある「ハンセン神谷」さんに、ボーンカービングの魅力、そして生まれ育った湘南の魅力を語っていただきました。

ここ湘南では認知度・人気の高いアイテム「ボーンカービング」

ボーンカービングとは、ハワイをはじめ太平洋文化圏で多く見られる骨を使った道具や装飾品の事で、なかでも釣り針型のペンダントは、今でも伝統を守るポリネシアの人達の大切なお守りとされています。近年はハワイアンショップなどでアクセサリーとして販売されていることもあり、特にここ湘南では認知度が高いアイテムです。

ハンセン神谷さんは、日本におけるボーンカービング職人の第一人者として知られ、芸術性・デザイン性ともに他の追随を許さない作品は、絶大な人気を誇っています。現在では最も優れたボーンカービング職人の一人として知られるハンセン神谷さんは、何故ボーンカービングを創り始めたのでしょうか? そんな疑問を抱くなか聞いてみると、驚きのストーリーがそこに隠されていました。

ボーンカービング作りのきっかけは偶然の連続

「5歳から藤沢に住み、18歳でサーフィンをはじめました。サーフカルチャーに浸かっていたこともあり、ハワイへ出かけることも多かったんです。そんなある日、看板づくりや店舗の装飾を手がけていた私に、某大手スポーツショップから『ディープハワイの雰囲気の店舗をデザインしてくれないか』と頼まれました。『なら、“ティキ”でも作ろうか?』と何気なく提案してみたんです。ティキとは“ハワイなどポリネシア地域で信仰されている神様や守護神を彫った木の彫刻”です。ハワイでは国立公園やレストランの入り口などに飾られていたりするので、雰囲気の演出にはぴったりかなと」

「正直、それまでティキを作ったことなかったし、まぁ何とかなるだろう?って軽いノリで引き受けたんですよね」とハンセンさん。しかしその評判が良く、次々と仕事の依頼がはいり、寝る間もないほどにティキ作りに追われるようになったといいます。

「寝不足が続いたある日、夢うつつの状態でしたが、製作中のティキが“ポン”と製作台から飛び降りたように見えて…。『あ、これはヤバい』と怖くなったんです。今までは見よう見まねで何となく作っていたんですが、このままじゃいけないと」

すぐさまハワイへと飛び、ティキ作りのプロを尋ね歩いていたというハンセンさん。

「ある人に『ティキを造っているのに、なんでボーンカービングはやらないのか?』と言われたんです。ティキとボーンカービングは、切り離せない関係らしく、その時初めてボーンカービングを知ったんです」

独自にボーンカービングを研究。作品を作りつづける

その後、ハワイにおけるボーンカービングの第一人者であるジョージ・マイケル氏の作品や紹介記事などを参考にしながら、独自にボーンカービングを研究。当初の作品は全部友達にプレゼントしていたそう。
その後も研究を重ね作品を作り続けていると、突然、驚くべき人物がハンセンさんの元に現れたのです。

「あのジョージ・マイケルが自宅工房に訪ねてきて『このボーンカービングを作ったのはキミか?』と。本当にビックリしましたよ!『ハワイにある私の店に多くの日本人が押し寄せている。何故かと聞いたら“あるカリスマ的人気の女性歌手が身に着けていてブームになっている”とか。そこで色々と調べたらその作品があなた、ハンセン神谷の作品だと分かったんだ』と彼は私に言いました。そう、彼女が身に着けていたのは、確かに私があるTV番組でご一緒した時に購入してくれたものだったんです」

本場の一流職人にもその確かなモノづくりが評価され、その交流をきっかけにハンセンさんはジョージ・マイケルさんの工房で作品作りの手伝いをすることになったそう。彼の元で働き、多くのことを学んだハンセンさんはある決意をします。

「ボーンカービングの日本での第一人者になる。誰かがボーンカービングづくりを始めたとき、この人には絶対に追いつけないとあきらめさせるほどの、飛び抜けた存在になってやる」

それからは休むことなく毎日ボーンカービングの製作に励んだといいます。

“スタイリッシュであること”を湘南で学ぶ

そんなハンセンさんがボーンカービングづくりで心掛けているのが“収まりの良さ”。

「簡単に言えば、全体的なバランス。イメージとしては実体と空洞の面積を同じにしたり、いかに流れをまとっている曲線に気流を見出すかということに注力しています。洞察力・探求心・想像力、この3つを常に鍛えつつ『スタイリッシュか否か』を作品づくりの中心に置いています」

そうした『スタイリッシュであること』は、ここ湘南の地で培われたといいます。

「サーファーの先輩はハワイからファッションや車、音楽などさまざまなものを紹介してくれました。サーファーである以上、そうした“カッコいい”カルチャーを知らないと、”ダサいヤツ”として相手にされない時代だったんです。なので、サーファー仲間や先輩といい関係を築くうえでも『スタイリッシュ』であることは必須。“何がカッコ良くて何がダサいのか”は、この時に学びました。こうした人と人とのつながりこそが、湘南の伝統というか文化なんだと思います」

ボーンカービングを湘南発のカルチャーとして全国に

今回のワークショップは全2回とも予約でいっぱい。中には通算14回目という方もいらっしゃり、その人気のほどがうかがえるほど。自分自身が身に着けるのはもちろん、お祝い時のプレゼントとして送る方も多く、ここ湘南ではオシャレなアイテムとして知られていますが、全国レベルではまだまだ認知度は低いそう。そこでハンセンさんは全国各地でワークショップを開催するなど、ボーンカービングの普及に積極的に取り組んでいます。

「地方へ行くと“湘南”という名前にブランドを感じる方も多いんです。だからこそ湘南をもっと知ってもらいたい。ボーンカービングを湘南発祥のファッション、文化として全国に広めたいんです」とハンセンさん。

全国でのワークショップの様子

現在は、従来のボーンカービングに留まらず、「オハグロ」の技法を使用して黒く着色した作品に取り組むなど、独自の進化を加えてさらに洗練された作品も生み出しています。後継者にして第一人者、そして絶対者であり伝道師…。湘南らしさあふれるクリエイター・ハンセン神谷さん。今後の活躍にも目が離せませんね。

おはぐろを使う技法は能面師から教わったとか

LINE

ハンセン神谷|ボーンカービングワークショップ

[開催日時]
9月23日(月・祝)11時〜、16時〜

[会場]
テラスモール湘南3階
くらしテラス イベントスペース

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ハンセン神谷
1960年生まれ。神奈川県藤沢市在住。”ティキ” と呼ばれるハワイの神々を日本人のアイデンティティを持ちながら彫り続ける彫刻家。ハワイにおけるボーンカービングの第一人者、故ジョージ・マイケル氏の遺志を受け継ぎ、確かな技術と洗練されたデザインを守り、日本におけるボーンカービングの先駆者として湘南を中心に活動中。
ウェブサイト:http://hansenkamiya.com

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